食生活の欧米化に伴って、最近若者を中心に増加した病気です)根本的な治療法がなく、よくなったり悪くなったりを慢性的に繰り返します。
食生活の欧米化に伴って炎症性腸疾患が増えている
最近、潰瘍性大腸炎やクローン病などの「炎症性腸疾患」が、20歳前後をピークに若い人たちに急増しています。近年の食生活の欧米化に伴って、増加した病気です。
炎症性腸疾患は、慢性的に症状が落ち着いている時期(緩解期) と、症状が悪化する時期(再燃期) を何年にもわたって繰り返します。
症状が悪化すると、下痢や激しい腹痛などがはぼ毎日起こり、日常生活にも影響します。まだ原因がはっきりせず、そのために根本的な治療法が見つかっていないため、厚生労働省の特定疾患にも指定されています。
大腸に炎症が起こる
潰瘍性大腸炎は、大腸にできた炎症によって、度重なる下痢と、腹痛・粘血便が起こる病気です。炎症は直腸から始まり、ひどいときは大腸全体に炎症が及ぶこともあります。
症状が落ち着いている時期には炎症が見られなくなることがあり、過敏性腸症候群と間違えられることがあります。ほとんどの患者さんはペンタサ錠やステロイド薬などの抗炎症薬で症状が改善します。よくなったり悪くなったりを何年にもわたって繰り返しますが、5年はどで落ち着いてくることが多いようです。ただ、10 年以上たって悪化する場合は、大腸がんのリスクが高まります。
腸に穴があくこともあるクローン病
クローン病は、口から肛門までの消化管のどの部位にも炎症が起こり、下痢や激しい腹痛、体重減少、発熱、血便などの症状が表れます。
軽症のクローン病は炎症が発見されにくく、過敏性腸症候群と間違われることもあります。クローン病の炎症は、消化管の深いところまで影響しやすく、場合によっては、腸管に「瘻孔」という穴が開き、胃や勝胱とつながってしまうこともあります。多くの研究から、クローン病の患者さんには「自己免疫反応」が起こっていることが分かりました。
これは、本来なら病原菌から体を守るはずの免疫のはたらきが、自分の体を攻撃する反応です。つまり、自分の免疫細胞が自分の腸を攻撃することで、炎症が起こるのです。クローン病の治療は、食事療法(たんばく質と脂肪を控える) と薬物療怯です。腸管の損傷がひどいときは、内視鏡手術なども行います。