「新型栄養失調」は現代人の命を縮める

「新型栄養失調」という言葉を耳にしたことはありますでしょうか?

今、70歳以上の5人に1人がこの新型栄養失調になっているという国の調査があります。若い人にも、新型栄養失調は無関係ではありません。「飽食の時代と呼ばれるこの日本で、栄養失調なんておおげさな」と思われるでしょうか。

  • 自分は太っているから関係ない
  • 食食べているのに栄養失調になるわけがない

と思うでしょうか?

しかし、新型栄養失調は、飽食の時代の日本において、体型や食欲に関係なく、多くの人が自覚のないままに陥っている可能性が高い病気です。太っていても、毎食しっかり食べている人も、たった1■つの栄養素の不足で起こってくるのです。

新型栄養失調の指標となるのは、血清中に含まれるタンパク質の一種である血清アルブミンの量です。血清に含まれるタンパク質の中で、血清アルブミンは最も多く、約60%を占めています。食事によるタンパク質の摂取量に敏感に反応するため、タンパク質の栄養状態を示す指標とされています。

この血清アルブミンには、血液の浸透圧を維持する機能があります。血液が体内を正常に循環しているのは、血清アルブミンが血液中の水分量を保って浸透圧を維持しているおかげです。
さまざまな物質と結合する作用が強いのも、血清アルブミンの特徴で、カルシウムなどのミネラルや脂肪酸、酵素、ホルモンなどと結合し、それらの物質を必要としている部位へ運び届ける役目があります。

ですから、血清アルブミンが減ると、体のさまざまな機能が正常に動けなくなり、組織がつくられなくなります。血管をつくる材料が不足すれば脳出血起こし、赤血球の材料が足りなければ貧血になります。
免疫細胞がつくられなければさまざまな病気を起こしますし、筋肉がつくられなければ歩けなくなり、寝たきりの状態になってしまいます。

つまり、新型栄養失調とは、命を縮める病なのです。今なぜ、この恐ろしい病に無自覚のままなってしまう人が増えているのでしょうか。
最大の原因は、誤った租食侶仰です。「日本伝統の粗食が健康によい」「肉や卵を食べると生活習慣病になる」という誤った情報が世間に広がるにつれ、生活習慣病を避けたいがために、高タンパクの肉や卵の摂取を控えている中高年がとても多いのです。

血清アルブミンの材料となるのは、肉や卵、魚などの動物性タンパク質と、大豆などの植物性タンパク質です。「豆腐や納豆など植物性のタンパク質を摂っていれば、動物性タンパク質は摂らなくてもよい」という人がいますが、これは大きな過ちです。大豆は腸内細菌の餌になる、体に大事な食品ですが、タンパク質の含有量で考えれば、血清アルブミンを増やすには、肉や卵も必要なのです。

血清アルブミンが3.5mg/dl以下になると、新型栄養失調と診断されます。肉抜き、卵抜きの食生活を続けている人は、この数値を下回る前に今すぐ改めるべきです。実際、高齢者で3.4mg/dlの人は、1年後に半数が亡くなっているというのです。それに対して、4.2mg/dlならば、1 年後に亡くなっている人はいません。

ここまでお話ししても、「肉や卵は、コレステロール値が高くなるから怖い」という人がいるかもしれません。
しかし、前述したように、コレステロールは少々高いくらいの人のはうが長生きなのです。細胞膜の原料となるのがコレステロールであり、材料が十分にあれば丈夫な細胞を維持できるからです。

一例をあげれば、認知症の重症度を評価する「臨床認知症評価法(CDRでも、コレステロールと血圧は適度に高いほうが健全な数値を示します。コレステロールが、脳細胞を丈夫に保ってくれているため、認知症を防げるのです。
安定したコレステロール値のために積極的に摂りたい5つの栄養素

ただし、肉食の頻度が多くなってしまうと、それも問題です。エネルギー過多になって肥満になりやすくなります。また、腸内バランスが乱れ、免疫力の低下を起こします。

食において大事なのは、「いいとこ取り」です。「夕食は、肉が週3日、急が週4日。副菜の野菜はたっぶり。主食なし」が、高タンパク質食品のいいとこ取りをしながら長寿を達成するための、ちょうどよいバランスだと私は考えています。こうした食事をしていれば、新型栄養失調で命を縮める心配は回避できるはずです。

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